気まぐれ映画評『天地明察』 気まぐれ映画評
第7回は
『天地明察』です。
江戸時代に改暦に挑んだ天文学者・安井算哲(渋川春海)にスポットを当てた『プロジェクトX』であり、『情熱大陸』である。算術とか天文学とか、私はまったくの門外漢であるが、へぇ〜と感心することばかり。狂気じみた熱意と集中力、そして仲間の応援が、大事業を成し遂げるためには必要であることは、いつの時代も変わらない。しかし、江戸時代という身分制度の確立した時代に、一介の碁打ちが、改暦という大事業を成すというストーリーは痛快であり、また、その情熱には拍手喝采。保科正之、徳川光圀という歴史上の人物の卓見もまた見事。関孝和は周りの応援があれば、算哲よりも先に改暦を成しえたかも?もちろん、史実と違うところはあろうけれど。
改暦にあたり、公家との勝負を庶民の娯楽に落とし込み衆目を集め、そして挑むあたりが、映画というエンターテインメントとして飽きさせない。「日食」は起こるのか起こらないのか。今ならネットですぐにわかることに、自身の命を賭けた算哲。「命懸け」とはまさに算哲の生き様をいうのだ。
さわやかな天文オタク・安井算哲を演じきった岡田准一が良い。そして、算哲の妻・えんを宮崎あおいも好演。
冲方丁(岐阜県各務原市出身)の原作を読了していた私も大満足の作品だった。