『海難1890』 気まぐれ映画評
久しぶりの映画評。
12月5日に公開になりました
日本・トルコ合作映画『海難1890』です。
「トルコは親日国だ」とはなんとなく知っているのだが、その長い歴史にどんなことがあって親日国なのかということは、ちょっとボンヤリしている。1890年のエルトゥールル号遭難事件はもちろん知らなかった。なるほど日本人は立派だなと。そして30年前、イラン・イラク戦争で今度は日本人が助けられる。知らなかった。なるほどトルコの皆さんありがとうと。私は歴史好きな方だと思うが、知っていることなど長い歴史にの本当にわずかな部分だけ。それを知ることができただけで、この映画を観た価値があった。
「情けは人のためにならず」ということわざ通り、巡り巡って自らが助けられる。困った人は助けてあげよう、そんな当たり前のことだけれどなかなかできないことを、125年前の日本人が、30年前のトルコ人が見せてくれた。映画に出てくる言葉を使うと「真心」の大切さ。真心を描いた作品だ。
失礼ながら、大きな期待をもって観に行ったわけではなかった。しかし、ほぼ涙していたと言っていいくらい入り込んでしまった。ところどころ、ちょっと脚色しすぎていないかと思うシーンがあったのは確かだけれど、そんなことを吹き飛ばしてくれる鑑賞後の心地良さ。簡単なことではないけれど、目の前の人に丁寧に誠実に接すること、これがすべてであり、この先に世界の平和があるのだ。トルコに行ってみたくなった。