気まぐれ映画評『サクラサク』 気まぐれ映画評
きょうは
ただいま公開中の
『サクラサク』です。
原作はさだまさしさんの短編小説です。認知症になった父親をめぐり、ギクシャクした家族が再びひとつになるという物語。大崎俊介(緒形直人)は仕事人間、妻の昭子(南果歩)との夫婦関係は冷え切り、息子や娘ともうまくいっていない上に、父の俊太郎(藤竜也)は認知症になってしまう。さあ困った困った…、ということは、珍しい話でもないのでしょう。たまたま私の祖父、祖母は認知症ではなかったですが、老いた親の介護とか、夫婦関係、親子関係の問題なんて、これからいくらでも直面しそうなことですよね。
家族との関係を取り戻すために、父の思い出の地・福井へ家族旅行に出ます。旅に出るとあっさり家族の絆が戻るのは、いかにもファンタジーという気はしますが、温かいロードムービーならではの解放感が、そんなことはどうでもいい、もっと大切なことが描かれていると思わせてくれます。
どんなことでも、自分が悪いなと思ったら、すぐに謝らなきゃいけない。そして、近くにいる人をよ〜く見ることの大切さをあらためて感じました。崩壊した家族、認知症になった親…、「現実はそんなに甘くない」と言われれば、確かにそうかもしれません。でも、『サクラサク』夢を見ることもいいじゃないですか!!
派手さはないが、素朴で美しい福井の景色がまたよかったです。