『消化試合』 日々
新聞、放送では
プロ野球の優勝チームが決定したあとの試合を
「消化試合」と表現することがあります。
でも、
私はこの「消化試合」という言葉を
放送で使うことはほとんどありません。
そりゃ、
取材していればわかります。
取材者が減り、
練習中に流れるまったりした空気に触れていれば。
でも、
プロ野球は興業であり、
その日しか観に来られない方も大勢いるのです。
お金を払って観に来る方が1万人以上いる試合を
「消化試合」だと放送で言う勇気は私にはありません。
実況を担当するのが
ツラいという気持ちもあります。
何をしゃべればいいだろう?
いわゆる「消化試合」「ワンサイドゲーム」で私が心がけること。
それは「丁寧にしゃべる」、このひと言につきます。
「ナゴヤドームは○対○、○○がリード、ピッチャー○○、バッター○○、…」
基本をおろそかにしない。
雑な描写をしない。
実況デビューした頃なら
絶対に手を抜かないはず。
ある意味では「修行」だと思い、
マイクに向かいます。
そりゃ、きょうだって残念な試合でしたよ。
「全然打てないなあ、なんだよ…」とも思います。
かと言って、手を抜くようでは
大事な時に大きなミスをするのです。
もっと言えば、
大事な場面が回ってこなくなります。
つまらないと思われるくらいの試合こそ、
アナウンサーの力量が問われると思っています。
きょうの解説は鹿島忠さんでした。
鹿島さんも
この状況でも丁寧に、
全力で解説してくださいました。
嬉しかったです。