『鬼の阪口から、仏の阪口へ』 日々
高校野球の甲子園春夏通算35度出場、通算40勝を挙げた大垣日大の阪口慶三監督がきょう会見を開き、ことし一杯で監督から退くと明らかにしました。今夏、79歳にして甲子園で指揮を執った阪口監督。その情熱たるや推して知るべしでしょう。
2008年8月、いまから15年前。わたしが担当していたワイド番組『直球勝負!大澤広樹』にご出演いただきました。東邦高校から大垣日大高校へ移って2年目、当時64才の阪口監督です。
東邦高校の監督時代は「鬼の坂口」と呼ばれるほどの厳しい指導でチームを鍛えた阪口監督。東邦高OBと話しをすると、信じられないようなエピソードを次々と教えてくれます。
しかし、番組に出演していただいたときの阪口監督は「あれっ」と思うほど穏やかな口ぶりで、鬼とはかけ離れた優しい方でした。今でもとても印象に残っているのは「きょうは名古屋まで来たので、アイスクリームでも買って帰って、子どもたち(硬式野球部員)みんなで食べようと思っているんです」というひと言。鬼じゃない…(笑い)。
高校野球の指導者がいい意味でも悪い意味でも注目されるいまの時代ですが、すでに今から15年前、「鬼」と呼ばれた阪口監督は、時代と共に変化して「仏の阪口」になっていました。人はいつでも変われるんだということを教えてくれた気がします。きょうも会見で「叱るより褒めることの方が大事だと思って、褒めて、褒めて、褒め殺すようにチームを自分を変えていった。それが仏の阪口になったということです」と話したそうですが、変化、進化できるその柔軟性は見習わなければいけません。
高校野球史に刻まれた名監督・阪口慶三さん。本当にお疲れ様でした。でも、また戻ってくるんじゃないかなと楽しみにしてしまう自分もいます。