『リアル書店』 日々
わたしは書店が好きです。実店舗を構えた、いわゆる「リアル書店」。スマートフォンに触れている時間は、わたしはかなり長い方だと自覚しています。それでも活字が好き。書店に行くと、目的だった一冊以外にも面白そうな本を見つけることができます。
読みたかったのは『正義中毒』(中野信子、アスコム)。
人の脳は、わかりやすい攻撃対象を見つけ、罰することに快感を覚える。誰でも「正義中毒」に罹ってしまう可能性があるんです。怖い怖い。確かに。わたしもツイッター上で、とんでもない角度から攻撃されることがあります。でも、それは攻撃者にとっては「間違っている、許せない!」となるんでしょうね。こちらは黙ってやり過ごすしかありません。
特に面白かったのが「知的偏食」という言葉です。インターネットでは、利用者の検索履歴をもとに、興味がありそうなニュース記事や広告を表示します。便利なこともたくさんあります。でも、そればかりになってしまうと、自分の知識や関心が凝り固まってしまいます。そう思うと、インターネットではなく、なんとなくでも新聞や雑誌を読んでおくというのはとても大切なことのような気がします。
そして、知的偏食を防ぐ書店の良いところ。『正義中毒』の隣にあった『87歳、古い団地で愉しむひとりの暮らし』(多良美智子、すばる舎)を手にしてみると、これが面白い。インターネットで『正義中毒』だけを探していたら、きっと出会えなかった一冊でしょう。
まだ子どもが小さく、わたしも妻も元気に暮らしているいま、なかなか老後の生き方まで思いが及びません。でも、こんなお年寄りになれたらいいなと思わせてくれた一冊でした。これを「前向きな生き方」というのか「あるがままの生き方」というのかわかりませんが、自然に飾らず生きている美しさを教えてくれました。あと、健康であることは大切ですね。
2000年頃と比べると約半減したともいわれる「リアル書店」。インターネットで購入するのもとても便利ですが、わたしはリアル書店でゆっくり過ごし、思わぬ一冊と出会うこともやめられません。