『福敬登 きょうの自分と向き合いながら』 日々
きょうはわたしの「ドラゴンズ取材初め」。ことし初めて、ナゴヤ球場へ行きました。関係者、ドラ番記者の皆さん、選手たちと「ことしもよろしくお願いします」とあいさつが続きました。新人合同自主トレの第2クール初日、わたしは初めて見る選手ばかり。とても新鮮な気持ちになりました。
きょう、ナゴヤ球場では70メートルくらいのキャッチボール、屋内練習場ではマウンドの傾斜を使ってボールを投げた福敬登選手に話を聞いてみたいと、しばらく待っていました。「大澤さん、明けましておめでとうございます!」と福選手が登場。ことしも笑顔が似合う福選手。しかし昨秋、難病・黄色靱帯骨化症の手術を行なった福選手です。その胸の内を聞いてみました。
「気温の変化が体にはっきり出ます。寒い日は左足が痺れます。暖かいとマシになります。きょうは暖かくてよかったです。傾斜を使ってキャッチボールをしたのはきょうで3度目ですが、左足の最後の蹴りが物足りないんですよ。マウンドの掘れ具合が弱いなぁと見て感じた。あまり土が削れていなくて。これはもう仕方がないことで、付き合っていくしかないんです。きょうの体の状態で、ベストのパフォーマンスを出すためにはどうすればいいのかということを考えています」
「(同じ黄色靱帯骨化症の手術経験がある)ロッテの2軍コーチ大隣憲司さん、ベイスターズ三嶋一輝さんとは連絡を取り合っている。大隣さんからは『ベストのころの8割くらいになると思っていた方がいい。その中でどう抑えるか』、三嶋さんは『100パーセントに戻す』と言っています。三嶋さんの方が僕より2カ月早く手術しているので、自分は三嶋さんの2ヶ月遅れだと思って回復具合に注目しているんです。でも、その一方で頭の片隅には大隣さんの『ベストの8割』ということは頭に入れています」
日常生活で気をつけていることはあるのでしょうか?
「 食事とかは全くないんですが、人混みを避けることです。左足が痺れて力が入らないと急に止まれず、前の人にぶつかってしまうんです。娘を抱っこしていて前のめりに倒れてはいけませんし、外出する時間は混雑を避けるように考えるようになりました」
福選手はもちろんですが、世の中には外見からでは判断できない困りごとを抱えている人がたくさんいるのであろうと、改めて思い知らされる話です。
でも、福選手はプロ野球選手。マウンドにもう一度、立つことが仕事です。
「投げることはもちろんですが、バント処理の時に踏ん張って止まれるかどうか、ちゃんと練習で成功体験を積んでいきたいです。他にも、もし投げていて左足が痺れていたら、右足を上げて左足で立つ時間が短くなるように、全部のボールをクイックモーションから投げるとか、とにかく自分の中の選択肢を増やしていきたいです」
そして一軍のマウンドに戻った後の話に及びました。
「打たれてベンチに戻った時に、落合コーチや大塚コーチに『きょうは足の状態が悪かったから仕方ないな』と絶対に言われたくないんです。『病気のせいで』『足のせいで』という逃げ道がなくなるまで、しっかりと自分でリハビリ、練習を積み上げていきたいです」
自分のことを「神経質です」という福選手。心配で眠れないとか、そういうことはないのかと聞くと、「眠れないほど不安なことはありません。でも、寝つきは悪いです」。わたしには想像ができない悩みを抱えながら、それでも「きょうの自分」と向き合いながら復帰を目指す福選手。福選手のお子さんと我が子は、年齢は違いますが誕生日が同じなんです。そんなこともあって「頑張れ、戻ってこい」という思いが一層強くなっています。焦るな。必ず復帰できると信じています。