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直球勝負!大澤広樹

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『早口ばかりが能でない』 日々

わたしのデスクに近い、本などが並べられている棚から、小冊子を閉じた古いファイル?を見つけました。開けてみると『SFマンスリー』とあります。1960年4月1日に開局した東海ラジオ。その当時に、放送の裏話や出演者へのインタビュー、東海地方でのラジオの聴取状況や聴取者からのご意見などをまとめたものがこの『SFマンスリー』という小冊子でした。この冊子の存在、知りませんでした。わたしが生まれる前も前、今から63年前の小冊子。この5月号がいわゆる「創刊号」です。



その6月号の特集が「野球放送」。63年前の東海ラジオも、プロ野球の中継をしていたんですね。しかも創刊第2号の特集になるくらいですから、当時から大切なコンテンツだったことがよくわかります。

「野球放送・今と昔」「野球放送岡目八目」「これからの野球放送」「「野球解説の苦心と抱負」「グラウンドは生きている」というテーマなのですが、2023年に読んでみてもなかなか興味深く、参考になるところがたくさんありました。



「女性アナに、野球放送や相撲放送でもやらせるくらいの思い切った企画があってもよいのではないだろうか」。野球を実況する女性アナは出てきましたが、相撲はまだかな?



「早口ばかりが能でない」。これ、全く同感です。わたしも「話し方講座」的なもので講師を務めさせていただいたことが何度かありますが、必ずいうことの一つが「ゆっくり話してください」です。早口でペラペラ喋る方が上手いと思いがちですが、全く伝わりませんし、ゆっくり読む方がはるかに難しい。「アナウンスは早いばかりが能でない。すべてのものは緩急があってこそ調和がとれる」。




「解説者の見識や持ち味といったものをフルに活用しなければならない。それには引き出し役のアナウンサーが野球を識っていることが、なんとしても大きな条件である」。その通り。「解説者の○○さん、いいこと言ってたね」という反応があれば、アナウンサーが良い放送をした証し。反対に解説者に批判が集まるような放送をしてしまったのであれば、アナウンサーは猛省しなければいけません。



63年前の「野球中継」論が、令和の時代にも十分に通用しそうです。「これを使ってやろうと用意しておいた言葉は、とかくこじつけて使いがちで…」「絶えず新しい言葉を探さなければ…」などなど、今からでも役に立つ言葉が詰まった一冊でした。



わたしも野球実況を初めて24年目のシーズンに入ります。もう一度、自分を見つめなおし、磨いていきます。

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