『トレード』 日々
きょう、ドラゴンズの阿部寿樹選手とイーグルス・涌井秀章選手のトレードが成立し、両球団から発表されました。わたしはサッカーJリーグやバスケットボールBリーグほどではないにせよ、日本のプロ野球はもっとトレードを活発に行えば良い、と思っています。しかし、それでも今回のトレードには驚きました。
シーズンオフになると「○○選手と○○選手がトレードという噂」みたいな記事を、特にインターネットでよく見かけます。しかし、トレードというのはトップシークレットであって、漏れた瞬間に破談になります。なので、わたしレベルで耳にする噂話で、成立したトレードはありません。阿部選手と涌井選手のトレードが発表された瞬間から、わたしのiPhoneには「知ってたの?」というようなLINEがたくさん届きましたが、全く知りません。だから、今回のトレードはわたしもびっくりしています。
先ほど、オアシス21に行って阿部選手がラッピングされている柱を撮ってきました。
2015年ドラフト5位でドラゴンズが指名し、入団した阿部選手。引退した和田一浩さんの背番号「5」をいきなり継ぎました。
入団して3年で25安打、1本塁打。大学、社会人を経て入団し、背番号「5」を与えられた選手としては物足りない数字でした。
しかし2019年、与田剛さんが監督に就任し、阿部選手はチャンスをつかみます。この年の春季キャンプ、イーグルスを退団し野球評論家となった仁村徹さんとの会話を忘れることができません。北谷球場でのフリー打撃中のことです。
「大澤くん、あの背番号5の選手は誰?」
この時、仁村さんは阿部選手のことを知りませんでした。
「阿部です。大学、社会人経由で4年目です。プロ初本塁打はもう記録していますが、取り立てて目立った成績は残していません」というようなことを、わたしは答えたはずです。その阿部選手の打撃を見ながら仁村さんは、
「これはいい選手だよ。ことし出てくるんじゃない?」と。
3月29日、横浜スタジアムでのベイスターズとの開幕戦。与田監督は阿部選手を先発起用しました。
プロ野球選手は等しくチャンスが与えられるわけでもありません。少ないチャンスをものにできるかで、人生が大きく変わります。阿部選手はこの年、129試合に出場し2割9分1厘、7本塁打、59打点を記録。レギュラープレーヤーの座をほぼ手に入れました。
シーズンオフには『大澤広樹のドラゴンズステーション』にも出演してくれました。
その翌年から新型コロナウイルスの感染流行での取材規制、またわたしはほとんど球場に行けない生活になり、阿部選手に直接取材できるチャンスは激減しました。でも、わたしが実況担当の試合で阿部選手が活躍したときには「やったぜ阿部ちゃん!」と叫ぶように、心から応援していた選手のひとりです。はっきりいって、さみしい。
しかし、今季も133試合に出場しキャリアハイの548打席に立ち、2割7分、9本塁打(チーム2位)、57打点。(同2位)の阿部選手をトレードしてまで、チームは若返りに舵を切ったということは間違いないでしょう。ブログの冒頭にも書きましたが、わたしは活発なトレードに賛成ですし、主力クラス、レギュラークラスの選手の移籍こそチームにとって刺激となり、必要だと思っています。岩手県出身の阿部選手ですし、イーグルスには明治大の同級生・島内宏明選手もいます。さらなる活躍を期待します。
ドラゴンズに移籍することになった涌井選手。落合英二ヘッドコーチとはマリーンズで3年間、投手コーチと選手の関係でした。当時、落合コーチからわたしは涌井選手の練習への取り組み、プロ意識のすごさなど、いろいろ「涌井話」を聞かせてもらいました。涌井選手と一緒に自主トレを行った柳裕也選手も、多くの教えを受け学んでいるようです。両選手、両チームにとっていいトレードになってほしいです。
来年の両チームの交流戦、舞台は仙台。「やったぜ阿部ちゃん!」とわたしが叫ぶのは、早くても2年後のようです。