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直球勝負!大澤広樹

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『来年の大澤アナに』 日々

きょうは朝7時出社で『朝は矢野流』に出演。

朝から会う人会う人に「すごいレースだったね〜」「良かったね〜」と言われ、

スポーツ新聞を読んでいても胸が熱くなってきて、

きのうの名古屋ウィメンズマラソンの余韻からまったく抜け出せません。

「一年でもっとも忙しい一週間」が終わりました。

山のように作成した資料などともお別れです。



結果についてはもう皆さんがご存知のとおりですが、

アナウンサーとしての自身の反省を、

来年の自分のために書き記しておきます。



放送開始から放送終了まで聴きなおしました。

ひと言でいえば「力不足」に尽きます。



もちろん「いい放送だったよ」と言ってくれる人はいます。

でも、

私が目の当たりにした田中選手と小原選手の「死闘」を

余すことなく伝えるほどの技量が私にはありませんでした。

こんなに空しい気持ちになるのは

18年目で初めてかもしれません。

それくらいきのうの私は、

調理しがいのある最高の材料を与えられたのです。

しかし、私が感じたふたりの息遣いや思い、沿道の空気を、

言葉で伝えられていないのです。



私は運がいい人間だと思っています。

これだけの名勝負を引き当てたのも、やはり運がいいからだと思います。

しかし、運のよさを活かせませんでした。




「名古屋ウィメンズマラソン実況中継」には

本当に多くのスタッフがいます。

みんな、当日はもちろん、

何日も前からこの放送に向けて準備をしてきました。

みんなが作り上げた舞台に上がるのが私たちアナウンサーなのです。

その舞台の上で、もっといい演技をしたかった。



前日の夜、ほとんど眠れませんでした。

それは毎年のこと。

「名古屋ウィメンズマラソン」の実況中継はとても緊張します。

もっとも緊張する仕事かもしれません。

それほど緊張できる仕事を任せてもらえるなんて、

アナウンサー冥利につきます。



だからこそ、なんとかしたかったな…。

重箱の隅まで伝えきりたかったな…。



毎年、自宅に帰ると録画した東海テレビのマラソン中継を見て、

「森脇さんはここでこうしゃべったのか」「小田島さんはこう表現したのか」と

すぐに勉強させてもらうのですが、

昨夜はできませんでした。

理由は、怖かったから。

アナウンサーとしての力の差を見せつけられるのが、怖いのです。



大会本部があるナゴヤドームからレポートしてくださったのは

フリーアナウンサーの深山計さん。

陸上競技を愛し、スポーツを愛し、

五輪や海外マラソンを何度も実況してきた深山さんに、

私の実況はどう聴こえたのか。

「せっかくこれだけのレースになったのに、大澤クン、もったいない」と思ったことでしょう。

深山さんにも怖くて感想を聞けませんでした。



正解などない仕事をしている中で、

あまり深刻に考えない方がいいこともあるでしょうし、

「次だ次!!」くらいの気持ちももちろん大切なのはよくわかります。

でも、こんなにすごいレースを放送するチャンスがあるかどうかはわかりませんし、

さらに言えば、来年は私が実況するかどうかも分からないのです。



2月末、録画してあった「古舘伊知郎トーキングブルース」を観ていました。

何度も観ていたけれど、あらためて「すごいなあ」と。

滑舌、言葉のチョイスを含めた表現力、そして圧倒的な言葉のシャワー。

比べてみると(それも失礼なのだけれど)

私には言葉の引き出しが少ないのかもしれない。

薄っぺらい。

簡単にはできないことだけれど、

もっともっと言葉に敏感な人間になっていこう、

引き出しを増やしていこう、

そして緊張していてもその引き出しを

探し当てられる器の人間になりたいものです。



正直に言って、

「こんなマラソンを実況することは私の手に負えない」とも思います。

でも、そんなことを言ってはいられません。

自分でなんとかするのです。

来年も私がメインの実況を担当するのであれば、

ふたたびこんな空虚な気持ちを味わうことがないようにしたいです。



きょう、

社員食堂の女性から声をかけられました。

「大澤さん、もうすぐ野球シーズンですね〜。聴いていますよ!!」。

驚きました。

大勢のラジオ、テレビ社員、制作会社、スタッフなどが利用する

社員食堂の方が

私が「大澤広樹アナウンサー」だと知っているなんて、と。

うれしかったです。



こうやって楽しみにラジオを聴いてくださる方を裏切ってはいけないと

改めて思いました。



「目の前の出来事を、目の前以上の臨場感で伝えたい」と

私はいつも思っています。

きのうの「名古屋ウィメンズマラソン」を伝えきる力、

目の前以上の臨場感で伝える力はありませんでした。

でも、いつかは伝えきれるアナウンサーになれるよう、

もがきながらも少しずつ進んでいきます。

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