『高橋圭三さんを悼む』 日々
【今回のブログは私が特定の政党、団体を支持することを表明したものではありません】
21日夕、ディレクターとの打ち合わせを終えてデスクに戻ると、私の携帯電話に着信1件、LINE1件の通知があった。LINEアプリを立ち上げた。スマホの画面には「高橋圭三さん急死されました」と表示された。着信通知も高橋圭三さんに近い方からのもの。えっ…??
高橋圭三名古屋市議(50)が21日、亡くなった。告別式に参列し終えたいまでも信じられない思いだ。圭三さんに初めてお会いしたのがいつだったか、もう覚えていない。4、5年前くらいだと思う(訂正・調べてみると2012年12月からでした)。圭三さんは大の中日ドラゴンズファンだったので、それがきっかけだった。それからというものの、何度も顔を合わせてきた。私より10歳上で、ご覧のように整った顔立ちに落ち着いた語り口。私はなんとなく圭三さんに魅かれた。
昨年2月、圭三さんと食事をした際に突如聞かれたことをハッキリ覚えている。圭三さんも私も大学は違えど【法学部政治学科】を卒業している。圭三さんから「僕はなんとなく将来は政治家にということを大学時代に考えたことがあるんですが、大澤さんはないんですか?」と。私はなんとなく答えたが、そのときに「圭三さんは政治家になりたかった(過去形)んだな」と思った。もう終わった夢だと思っていた。圭三さんの優しい雰囲気、反対に言えば押しの弱そうな語り口から、本気で政治家を志しているとは想像もできなかった。
しかし、しばらくするとFacebook上で某愛知県議と行動を共にする姿が連日のようにアップされている。錦に事務所も構えた。「もしかして本気…??」と思い、圭三さんと連絡してみると「来年の名古屋市議選に、バカと思われるかもしれませんが、それでも出てみようと思っています」と返ってきた。夢は過去形でなかった。
昨冬の参院選で、私は減税日本の候補者を取材することになった。圭三さんにいろいろ紹介してもらおうと電話すると、候補者本人への取材や演説会などの日程まですべて手配してくれた。この気配りができるところが圭三さんの良いところだ。その心遣いに感謝すると同時に、河村たかし名古屋市長や候補者と共に活動し、マイクを握り、司会をし、政治活動をする圭三さんの姿を目の当たりにした日々でもあった。
そして今春、選挙事務所を構え、選挙運動が始まった。会社員から行政書士、そして県議秘書を経ての立候補。いわゆる「フツーの人」が、選挙戦の最前線に、先頭に立つところを初めて見た。ただ、私はこの時点でも「フツーの人が当選することなどあるのだろうか」と疑問に思うことはあった。今となっては恥ずかしい話だが。アナウンサーとして選挙運動に関わるわけにもいかない、高橋圭三候補の戦いはFacebookで知ることがすべてだった。
私が初めて選挙事務所を訪れたのは投票日、しかも締切後。驚いた。パーカーを着た候補者がみんなと一緒に座っていた。あまりにフツー。別室で待機して選挙管理委員会からの電話を待つ、そんな光景ではなく、いつも通りの圭三さん。地方選の開票だ、当選確実まではかなり時間がかかる。圭三さんとふたりでゆっくり話した。選挙戦の手応えはもちろん、その費用のこと、将来のこと、ご両親の反応などなど…。フツーの人が選挙に立つということがどういうことなのか、圭三さんと話しているとハッキリとイメージできた。そんな苦労を乗り越えても、この人は出馬し戦ったのかと、敬意が湧いてきた。
そして、歓喜の瞬間がやってきた。2015年で一番興奮した瞬間は、この時だったかもしれない。あの興奮はいまでもハッキリと覚えている。これからも忘れることはないだろう。選挙速報を伝えるテレビ画面に「高橋圭三さん当選確実」と。しかも中区2位(定数3)での当選だった。「フツーの人」が当選したのだ。政治への情熱、名古屋市への愛を持った「フツーの人」が。圭三さんが泣いている。私も涙が止まらない。50歳の男の夢が叶った瞬間、いや、夢のスタートラインに立つその瞬間に立ち会えたことは本当に幸せだった。
新人市議としてスタートを切った圭三さん。しかし、人柄は変わらず時々「きょうラジオ聴いてましたよ!!」とLINEが届く。
先月の私の誕生日にもメッセージを送ってくれた圭三さん。「シーズンオフになったら一度議会を…」と思っていたのに、こんなことになるなんて。
昨年4月、私が結婚記念日に行く岐阜の「潜龍」での出来事。妻とお店に入り、部屋に通される前にお茶と茶菓子をいただいていると、なんと隣のソファには圭三さんが!!そりゃもう驚きました。もちろんお互いにですが(笑い)。圭三さんとは何かしらご縁があるものだと思っていました。もちろんこれからもいろいろ話し、いろいろ教えてもらい、そんな風にいい関係がずっと続いていくと思っていました。とにかく悔しいんです。政治家になってまだ半年じゃないですか。こっちは全然話し足りないんです。市議会で質問に立つ圭三さんを見たかった。
これからも私は天国に届くような大きな声で、ドラゴンズ戦を伝えていく所存です。聴いていてください。