『器』 日々
きょうのナゴヤドームは
とにかく報道陣、関係者が多かった。
試合前から疲れてしまうくらい。
もちろん、
皆さんのお目当ては
きょうで27年間の現役生活を終える
ドラゴンズの山﨑武司選手です。
私も実況アナウンサーとして、
きょうは勝敗よりも「山﨑武司」の
人となりを伝えることに重点を置き、
放送に向かいました。
山﨑選手の
現役生活最後は空振り三振。
それもまたよし。
引退セレモニーを用意してもらえる選手など
本当に一握りしかいません。
きょう、
山﨑選手には涙がありませんでした。
汗だくになりながら、
後輩への愛、ドラゴンズへの愛に満ちた
素晴らしいあいさつでした。
「ドラゴンズに
選手として戻ってこられるなんて奇跡だ」と言った2年間、
結果だけ見れば、
山﨑選手が期待に応えたとは言えないかもしれません。
でも、
練習中、
グラウンドに姿を見せただけで
空気を変えるそのオーラは
山﨑選手にしかありません。
「器」が違うのです。
きょうの放送の中で、
私は山﨑選手のことを
「毀誉褒貶の激しかった選手」と言いました。
良くも悪くも、
私にとって、
そしてドラゴンズファンにとって、
さらにはアンチにとって、
山﨑選手はなにか気になる存在でした。
そのすべてを受け止める「器」が、
山﨑選手にはありました。
きょう、
グラウンドを一周する姿、
とてもカッコよかったです。
またいつの日か、
グラウンドの空気を一変させる存在感を
味わえたら幸せです。
それができる人は限られているのですから。