気まぐれ映画評『最強のふたり』 気まぐれ映画評
第6回は
『最強のふたり』です。
笑って泣ける。無名な出演者ばかりだが、これは素晴らしいフランス映画。「障がい者と介護(失業者)」というデリケートな素材で、カラッとしたユーモアと感動、日本人には撮れないのではないか。
大富豪だが全身麻痺の白人フィリップスと、失業者という立場から彼の介護者になった黒人ドリス。正反対の2人が惹かれあったのは、ドリスがフィリップスを障がい者として扱わない、無遠慮で笑えるほどに無邪気だから。日常生活でもそうでしょう。相手の社会的地位、名声、あるいはハンディに及び腰になり、腫れ物に触るように接するタイプの人間は、決してその人物に心を開いてもらえない。「よくそんな失礼なこと言うね」と思われるくらいの方が、笑ってもらえて愛されるのだ。
こんなにいいストーリーは出来すぎと思われるかもしれないが、実話に基づいた作品。悲しい人生経験をした2人が「障がい?失業?笑い飛ばしてやるぜ!」というエネルギーに満ちて前向きに人生を歩き始める。「ユーモア」が2人を最強にしてくれたのだ。
「木が歌ってるぜ」のセリフには声を出して笑ってしまった。