ウドバーハジーセンター 4 info
ここの目玉は数あれど、他の博物館ではお目に掛かれないのがこちら。
スペースシャトル「ディスカバリー号」です。
もちろん、何度も宇宙と地球を行き来した本物。
この広大なウドバーハジーセンターが作られた理由の一つが将来的にスペースシャトルを展示するためでした。
スペースシャトルを輸送するために機体の上に巨大な荷台を取り付けたジャンボジェット、ボーイング747で隣接と言うか敷地内であるダレス国際空港まで運ばれたあと、この建物に入れられました。
というか、運んできてすぐに展示できるように予めこの場所が選ばれたとも言えます。
蒲鉾型の建物に直角にもうひとつ蒲鉾型の建物がくついている構造で、くっついたほうがディスカバリーや宇宙開発関連の展示物が収められています。
なかなか実際の大きさが伝わりにくいですが、想像よりもはるかに大きなものでした。
大気圏に再突入する際の熱から機体を守る耐火タイル(チャレンジャー号、コロンビア号事故の原因にもなりました)を見ると、強烈な熱にさらされた痕がくっきりと残っています。
スペースシャトルのほかにはこんなものが展示されています。
スペースシャトル計画を進める中で、宇宙空間と地球を行き来する機体を開発する過程で作られ、数々の実験が行われたアポロの帰還船に似た構造のものです。
因みに「宇宙開発」と書きましたが、このスペースに一番たくさん展示されていたもの・・・
ミサイルです。
結局、ミサイル技術とロケット技術は表裏一体なのです。
北朝鮮が「ロケット」と言い張ってミサイル開発をしているということはこういうことなんだな、と妙に納得しました。
ウドバーハジーセンター 3 info
今回の旅行の主な目的はこのウドバーハジーセンターへ行くことでした。
というのも、エノラ・ゲイが展示してあるからです。
エノラ・ゲイ
広島に原爆を投下したB-29の愛称です。
父の生家は爆心地から東へおよそ700m。
一家全員被爆しましたが、奇跡的に一人の死者も出ませんでした。
とはいえ、原爆でそれまでの生活は跡形もなく吹き飛びました。
村上家に代々伝わっていた甲冑や刀も失われ、これは祖母が随分と悔しがっていました。
我が家をはじめ、広島の人々の人生を大きく変えたたった一発の原爆。
これを世界で初めて投下した飛行機をどうしてもこの目で見たかったのです。
内部は原爆を搭載するために改造されていて、普通のB-29と比べると全く違う構造になっているそうです。
垂直尾翼に書かれたRマークは、原爆投下に従事する空軍の特殊部隊のマーク。
空軍内でも極秘プロジェクトだったそうです。
歴史を変えたといってもいいこの機体。
複雑な気持ちでじっと見入っていました。
ウドバーハジーセンター 2 info
今回は第二次大戦後、冷戦時代の戦闘機をご紹介します。
ソ連がはじめて実戦に投入したジェット戦闘機、MIG-15と、アメリカのジェット戦闘機草創期の傑作機、F-86セイバーです。
朝鮮戦争初期、MIG-15で韓国軍を圧倒した共産国連合でしたが、F-86の登場で徐々に韓国、国連連合軍が制空権を握りました。
この二機は数々のドッグファイト(戦闘機同士の空中戦)を繰り広げたことでも有名です。
因みに、航空自衛隊発足後F-86はアメリカから大量に日本に供給され、主力戦闘機第一号となりました。
64年の東京オリンピックで五輪マークを大空に描いたアクロバットチーム「ブルーインパルス」でも一代目の機種として長年使われていました。
続いては冷戦後期の熱い戦争、ベトナム戦争で活躍した両陣営の戦闘機です。
ソ連のMIG-21とアメリカのF-4ファントムです。
ファントムは日本でも第三代主力戦闘機として活躍し、今も改造された機体が飛んでいます。
操縦はかなり難しい機体だったそうですが、空軍だけでなく海軍、陸軍、海兵隊と全ての軍で採用された傑作機です。
この二機もベトナムで数々の歴史に残るドッグファイトを繰り広げました。
こちらは空軍のF-100スーパーセイバー。
いずれも実戦で使われていた本物ばかり。
自国のものが本物というのはあまり驚きませんが、敵国のものも本物を展示するあたりはそのこだわりと実行力にただただ脱帽です。
ウドバーハジーセンター 1 info
ライト兄弟が世界で初めて空を飛んだ「ライト・フライヤー1号」からアポロ宇宙船まで、まさに人類の航空・宇宙開発の歴史が全て網羅されたと言っても過言ではないスミソニアンの「航空宇宙博物館」。
ワシントン中心部の本館もとてつもなく広大な建物ですが、何しろ航空機、宇宙船ともにかなりの大きさです。
レプリカではなく本物を展示することを旨としているこの博物館にとって、手狭になって展示スペースが足らなくなることは時間の問題でした。
この問題を解決すべく誕生したのがご紹介している「ウドバーハジーセンター」です。
日本では航空宇宙博物館別館と紹介されることが多いようです。
ここはダラス国際空港の滑走路南端に作られています。
(飛んできた飛行機がそのまま博物館に入ることができるため!)
建物を俯瞰で撮影できませんでしたが、とてつもなく巨大な建物です。
このようにかまぼこ型の巨大なドーム状の建物です。
さらにかまぼこの中央に横に短いかまぼこをくっつけた形で、スペースシャトル・ディスカバリーを中心とした宇宙開発の展示室が増設されています。
展示は第1次世界大戦、民間航空黎明期、第2次世界大戦、戦後の民間航空隆盛、冷戦、スピードへの挑戦、今後の航空機と、テーマごとに貴重な飛行機がこんな巨大なスペースに所狭しと並べられているだけでなく、天井から吊るされたり、まさにスペースの有効利用のお手本状態で展示されています。
特筆すべきは、第2次大戦の日本やドイツ、冷戦の旧ソ連など敵国のものも展示に力が入っていることです。
自国のものと敵国のものと、共に展示してはじめて歴史的な背景や実像が見えるというコンセプトだそうです。
まずエントランスを抜け展示室に向かうとこんな光景が目に飛び込んできます。
次回はテーマごとに代表的な航空機をご紹介します。
ワシントンの思い出 info
シーズン開幕から早2ヶ月。
前回の更新から随分時間が経ってしまいました。
これから2月に尋ねたアメリカ合衆国首都、ワシントンD.Cの写真をご紹介していきます。
中部国際空港からまずは成田国際空港へ向かいました。
一時間弱で成田に到着。
成田からワシントンの玄関口、ダレス国際空港までは12時間のフライト。
成田を午前11時に出発し、その日の午前9時に到着。
日付変更線の成せる技です。
今回の旅の目的は、何と言っても世界最大級の博物館、美術館群スミソニアンです。
ダレス空港到着後、すぐに向かったのがこちら。
スミソニアンの中で唯一ワシントンD.Cではなくバージニア州にある施設、航空宇宙博物館の別館、「ウドバーハジーセンター」です。
ここにはワシントンの本館では収容しきれなくなった飛行機や、スペースシャトル「ディスカバリー」が展示されています。
次回からはここに展示してある、歴史的飛行機の数々をご紹介していきます。