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ゲンカレチ 専務車掌 源石和輝

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浪人のススメ 定期列車

こんな時期にこんなタイトルですみません。
読めそうな方はこのままお進みください。

1990年。
第1回センター試験の予想外の出来にすっかり気をよくしました。
すっかり油断していたということでもあります。
受けたところはことごとく落ち、最後の合格発表にも番号はありませんでした。
帰りのバスから自宅まで、いくら思い出してもほとんど記憶がありません。
家に帰っても平静を装っていましたが、自室で一人になってやっと迫る現実。
つけたラジオから流れてきたのは偶然にも中島みゆき。不覚にも泣きました。
これから1年、自分は何者でもない。浪人生活の始まりでした。

春に始まったドラマが「予備校ブギ」。
緒方直人、織田裕二、渡辺満里奈らが出演。
大学生と浪人生の扱いの違いがこれでもかと描かれていました。
テレビで頻繁に流れていたのが「日本で通えるアメリカの大学」のCM。
大学卒業資格は得られないながらも、同世代の関心を集めました。
団塊ジュニアの高学歴志向に大学の定員枠拡大が追いつかず、
大量の浪人を生み出した時代ならではの光景でした。
外国への憧れも今以上に高かった時代でもあります。

バブルに浮かれた空気の底に、澱のように沈んでいたあのころ。
それでも自分を見つめ返し、どう生きていくかもがいたものです。
大学に進んだ親友と毎週行きつけのカレー屋で語り合ったり、
近所のアパートの一室を使った小さな塾でアルバイトしたり、
深夜ラジオに浸かったり。ラジオに初めて出たのはこの年でした。
思えばあれが人生の針路を決めた気がします。
のりかえ≫ラジオの恩人 関根勤さん 2015年6月21日

翌年進んだ大学で初めて放送部の空気を吸い、
社会人としてもラジオの世界に飛び込むことができました。
人と人とが集まってひとつのものを作るのは
愉しくもあり、思いどおりにいかないものでもあります。
笑ったり、ぶつかったり、悩んだり、思い切ったり。
そんなことを繰り返しながら今があります。
追い風があるときは風に乗り、向かい風のときは身をかがめる。
元来落ち着きがない性格なので抗ってひどい目に遭うこともあります。
それでもトータルで愉しめるのは浪人で学んだことが多かったからこそ。

2017年。
今はあのときの状況に近いかなと思っています。
人生に無駄な時期はない。
そう思いつつ残りの人生それほど長いわけではありません。
無駄と思える時期に何を考え動くのかが問われている。
それは分かっているのですができているかは分かりません。
置かれた場所で咲きなさい、ということばがありますが、
置かれた場所ほどよく見えていないものです。
これからもじっとしたりじたばたしながら一進一退するのでしょう。

受験生のあなたへ。
努力はあなたを裏切りませんが、
結果に裏切られることはあります。
そうなってもあなたはあなたを裏切らないでください。
もがいたり、やる気がなくなったり、自暴自棄になったり。
思いどおりにならないとそうなりがちですが、
そんなあなたを受け容れたっていいのです。
無駄や不本意や理不尽にだって意味があります。
試験と違ってすぐ出る答ではありませんが、
分かるまではヒントとして寄り添ってくれます。
どうか身体に気をつけて、一歩一歩進んでください。

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