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ゲンカレチ 専務車掌 源石和輝

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ローレル賞授賞式 定期列車

初めて見ました!


左から四日市市田中市長、鉄道友の会須田会長、四日市あすなろう鉄道都司社長

鉄道車両の授賞式。
のりかえ≫この模様は8.21音博


四日市あすなろう鉄道
2015年、近鉄内部・八王子線を四日市市が引き継いで発足しました。
のりかえ≫近鉄時代に乗ってます 2014年2月


発足後登場したのが新260系
これが優秀な鉄道車両に贈られる「ローレル賞」に輝きました。
1958年制定の「ブルーリボン賞」ともども歴史のある賞で、
年に1-2形式しか授賞されない大変名誉なものです。
いわば“鉄道界のカー・オブ・ザ・イヤー”
のりかえ≫ブルーリボン賞車両


授賞式では選考にあたった鉄道友の会から
四日市市とあすなろう鉄道に賞状と盾が送られました。


「地域に根差した鉄道の未来を担う存在になってほしい」
とエールを送る鉄道友の会の須田寛会長(JR東海相談役)。
初の冷房車、揺れの少なさなど快適な乗り心地にも太鼓判。


「存続の難しいローカル鉄道再生の形を示したことに意義がある」
と授賞理由を語る鉄道友の会の柚原誠副会長(名古屋鉄道出身)。
これまで速い車両や豪華な車両に贈られてきた両賞ですが、
近年は鉄道会社や地域の取り組みを加味する傾向にあります。


授賞式の後は除幕式。
うっかりフライング除幕のハプニングもありましたが…


無事除幕。


燦然と輝いています。


車内が狭いので代わりばんこに撮影。
なぜ狭いか?それは…


レールの間隔に秘密があります。わずか762ミリ
新幹線=1435ミリやJR在来線=1067ミリと比べても相当狭いものです。
かつては軽便鉄道として数多くの鉄道会社が採用していましたが、
改軌(レール幅を広げる)や廃線などで次第にその数を減らし、
現在は四日市あすなろう鉄道、同じ三重県内の三岐北勢線、
富山の黒部峡谷鉄道の3社しかない非常に特殊な存在です。
のりかえ≫黒部峡谷鉄道方面 2012年10月


そんな特殊さゆえ新車はもちろん他社から中古車を買うのもままならず。
しかも経営難のため近鉄から切り離された経緯もあり、懐具合も厳しく。
最新30年、最大60年以上経過した車両でなんとかやりくりしてきました。
それでも沿線住民に愛されるための投資を怠るわけにはいきません。
新生発足した時期ならなおさらです。


そこで2015年登場したのが新260系。
既存の260系(一つ前の写真)を大改造したとは思えない仕上がりです。


鮮やかな白と青の塗装、ヨーロッパの登山電車を思わせる大型の窓。


これまで車両が小さく屋根上や床下に設置できなかったエアコンは車内に。
連結部分にあるのが排気口です。


ちょっとスペースは取りますが、夏でも快適な車内が実現しました。


その分天井は高く開放的に!窓ガラスもUVカットで暑さ知らず。


各車両の両端に設けた液晶ディスプレイで停車駅や運賃をご案内。


一人がけの座席にはハート型の手すり


内部駅まで17分。あっという間の旅でした。
そういえば祝賀列車に乗るのも初めての体験
折り返しは定期列車として四日市駅に向かってゆきました。
「祝ローレル賞2016」の方向幕が誇らしげ。
「四日市⇔内部」の丸型表示板との取り合わせもいいですね。


内部駅には色違いの新260系が。9月下旬登場予定です。
デザインは沿線にある四日市工業高校の生徒が手がけました。
実は存続のカギを握ったのが沿線にある4つの高校の存在。
「通学の足が奪われる!」そんな廃線の危機感が大人たちを動かし、
四日市市が保有、あすなろう鉄道が運営という形に落ち着いたのです。


昭和29年製のサ120形。新260系導入で順次廃車される予定です。


内部駅に隣接する車庫も見学。
町工場を思わせる小ぢんまりした造りですが…


設備は本格的。


部品一つひとつに至るまで、愛情を注いでいるのが分かります。
こうした細かいところへの心遣いが、鉄道の安全を支えています。


帰りは従来型の260系に乗車。昭和59=1984年製でした。
新260系に比べると冷房はなく、内装もくたびれていますが、
開けた窓から吹き込む風や昔ながらのモーター音もいいものです。


車体は色とりどりのパステルカラー。


四日市市のキャラクター「こにゅうどうくん」が描かれたものも。


レールの幅は狭くとも、楽しみの幅は広がりそうです。


近鉄時代にあった自動改札は取り外され、


券売機は“食券仕様”になりましたが、これもコストダウンのため。
それでもきっぷをやりとりする乗客と駅員の姿に微笑ましさがありました。
新しさと懐かしさ。そこから生まれる人のぬくもりも列車は運んでいます。


新260系のローレル賞は沿線住民を喜ばせ、
四日市市やあすなろう鉄道を勇気づけることでしょう。
受賞は結果ではなく始まり。
鉄道をシンボルとした街づくりは、
これからも愉しい出来事の数々を運んでくることでしょう。
日常を運ぶ特別な鉄道の未来に幸あれ!

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