あの日と同じ曜日なのか。
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2011年は金曜日。
朝番組を終え外出先で地震に遭遇。
押っ取り刀で出社して、速報を読みつづけた。
読んでも読んでも、心にぽっかり穴が開く。
翌週も翌々週も、穴は簡単にふさがらない。
ことばの限界をいやというほど思い知らされた。
その後訪ねた被災地では、津波が来た線を境にして
「なんともない」と「なんにもない」に分かれていた。
ことばを超える無常さの本質がそこにあった。

あれから5年。
最近被災地を訪れた人たちに話を聞いた。
口を揃えて言うのは
「現地の人は話したがっている」。
元に戻りたい。しかし人や家は戻らない。
町は新しくなる。しかし郷愁ばかりが募る。
時間のベクトルが過去と未来で綱引きをする。
「なんともない」と「なんにもない」が綱引きをする。
ちぎれそうな綱をほぐすのは「なんでもない」現在。
今を生きる人とのつながりにあるようだ。

5年前から今まで。
自分に何ができるかばかり考えていた。
自分の思いを伝えることばかり考えていた。
だからすっかり忘れていた。耳を傾けることを。
なんだ基本じゃないか。話す者としての。
今さらながら恥ずかしい。自分の成長のなさが。

当時1歳のことらがきょう卒園した。
着実に成長している子どもの姿に、
「なんでもない」日常の積み重ねの尊さを思う。