放牧 定期列車
無事戦列に復帰しました。
ご迷惑、ご心配をおかけしました。
突然声を失ったのが先週17日月曜の夕方。
帰宅した妻に「おかえり」が言えなくなっていました。
形あるものをつかもうとしたら手からこぼれていくように、
自分の口や身体から言葉が剥がれ落ちていきました。
診断の結果は急性喉頭炎と両側声帯結節。
何らかのウイルスに感染し、普段白いはずの声帯が真っ赤に腫れており、
さらに腫れた声帯同士が擦れて小さないぼのようなものができていました。
その夜ある程度声は戻ってきましたが、ニュースを読むには程遠く。
結局21日金曜まで4日間、業務命令で番組を休むことになりました。
病気で仕事を休むのは20年目で初めて。
最初は情けない気持ちでいっぱいでした。
ソチ五輪でメダルを獲得した同年代の“レジェンド”葛西紀明選手。
長野五輪のジャンプ団体金の現場に自分がいない悔しさを味わったといいます。
そのときの感情ってこういうふうなのかな。重ね合わせてもみました。
ましてや代役は先輩原アナウンサー。
自分が先輩の代打を務めることはあっても逆はあまりないだけに、
申し訳ない気持ちもありました。
しかも、使えないのは喉だけ。
残る身体の大部分はピンピンしています。
まるで謹慎しているような気分にもなってきました。
「どうしてパパ家にいるの?」
これを毎朝言われると凹みます。
そんなことらを幼稚園に送り出すのも初めての体験。
とにっっっかく寝起きの悪いこと!
ベッドからはがしてもストーブで尻をあぶっているだけ。
朝食のテーブルに着かせても微動だにしません。
出発10分前になるとママの“鬼スイッチ”が入ります。
「早よ用意せんかゴルァァァ!!!」
今のはパパの鬼スイッチでした。
はっ…この寝起きの悪さ、パパの遺伝やわ。
とまあ、なんだかんだ言いながら朝食を用意するのは愉しいもの。
酒も飲めませんから、楽しみといえば食べることくらい。
朝昼晩作っては食べ、作っては食べ。
あとは洗濯(畳まないけど)、掃除(ルンバだけど)、風呂釜洗い(ジャバだけど)。
そして五輪観戦。
もうすっかり放牧された気分です。
疲弊した喉の特効薬は休息しかありません。
とにかくしゃべらないことがいちばん大事。
できれば音のない環境に身を置くのがいいそうですが、
あいにく隣の家がリフォームを始めたばかり。
家族もよーくしゃべります。
それでも静かな環境を作るために協力してもらって、
ようやく復帰することができました。
あとは職場の人たちのチームワークに助けられたり。
ラジオの前のみなさまに励ましをいただいたり。
感謝の気持ちに言葉が追いつきません。
月並みですが、健康ってありがたいですね。
厄が明けて初めて、そんなことに気づいています。
レジェンドも 無事是名馬の 積みかさね