日本一早い終電(3) 定期列車
いよいよ乗車!
8時24分発最終電車。
先発≫なんでこうなるの?
8時19分、阪堺電車住吉公園駅に“終電”が到着。
「住吉公園」の行先を掲げる最終電車でもあります。
折り返し「天王寺駅前」ゆきに。
「おつりはでまへん」。
へぇ、おつりのう堪能させてもらいま。
乗客は10人。座席にはおつりが。
8時24分、定刻どおり発車した終電。
廃止予定区間は次駅まで200メートル。
1分間、しっかり目に焼きつけます。
右にカーブすればもう次の住吉停留所。
草ぼうぼうのホームにはわずか3人。
雨の中、カメラを構えている人もいます。
交差する「本線」は次々と電車が行き交います。
ダダダンダダダン、ダダダンダダダン。
線路同士の平面交差は今では大変珍しく、
その形状から「ダイアモンドクロッシング」と呼ばれています。
住吉公園〜住吉間が廃止されるとこの平面交差もなくなりますから、
まさにダイアモンド級の貴重な音と振動を耳と尻に記憶させます。
さて住吉から先は今後も安泰の区間。
下町情緒たっぷりですが路線名は「上町線」。
上町台地の南端にある高級住宅街、帝塚山をかすめます。
ああ面白い、虫の駅?
チンチロリンの横をチンチンと駆け抜けます。
8時42分、終点天王寺駅前停留所着。
そこは日本一のノッポビル「あべのハルカス」のまん前です。
200メートルの廃止予定区間に始まった日本一早い終電の旅は、
300メートルの高さのビルの前で終わりました。所要18分。
同駅時刻表。住吉公園ゆき最終は8時02分!
小ぢんまりした“駅舎”をくぐると…
そこは地下鉄連絡口。昭和なフォントに萌えます。
「初発」「終発」という大阪地下鉄独特の言い回し。
ちなみに地下鉄とJRの駅は「天王寺」ですが、
バス停は「あべの橋」、近鉄は「大阪阿部野橋」。
同じ場所なのに駅名がバラバラなのはいかにも大阪ですな。
母校に程近い阿倍野&天王寺界隈は道路拡幅の真っ只中。
書店、ゲーセン、「大人になったら行こう」と誓った怪しいお店…
そのすべてが姿を消してしまいました。
目を転じると通天閣のすぐそばに大阪城が!
どう割り引いても怪しい施設です。
いくら街が新しくなっても猥雑なところは健在。
我がふるさとはこうでなければ。
“終電”でたどり着いた場所にふさわしい光景でした。