おとなの合宿(2) 定期列車
みなべか…何もかも懐かしい。
先発≫出発
寝室も。
浴室も。
教室も。
到着早々「授業」が始まりました。
1時間目は国語の篠原先生による「死について」。
「死は体験できない」
「死は証明できない」
「納得しながら人は死ぬ」
茨木のり子、養老孟司、ハイデガー、井伏鱒二らを例に挙げ
時には自身の経験を織り交ぜながら、
死に向かい、死を恐れながらも生きる術を説きました。
中年となった教え子たちを前に、
「若い君たちに活力をもらっている」
「伝統は守るものではなく応用するもの」
「僕は日本の将来に絶望したことはない」
ともすれば凝り固まりがちな自分の考えに喝を入れられました。
中学高校時代、言葉の大切さを教えてくれた篠原先生。
それが今の自分の基礎になっています。
70歳を過ぎてなお柔軟な発想の原動力はやはり言葉の力でした。
2時間目は化学の稲葉先生による「コロンビア農業指導記」。
教師を早期退職し、2年間農業を学んだ後JICA入り。
南米コロンビアで野菜栽培を教えることになりました。
渡航前にはスペイン語も学びました。
「勉強できる機会を与えられた!」
これまで教える立場だった先生の眼が輝きます。
コロンビアといえば麻薬や治安の悪さが印象的ですが、
時間と場所を間違えなければいいところだといいます。
「人口の9割が山地、都市も農地も山の上」
「パーティーを好み、食後はダンス」
「女性はセクシーでグラマラス」
など、サッカーW杯で対戦する国の知られざる顔が見えてきました。
さてグラマラスは結構ですが、問題はポッコリお腹。
原因となる野菜不足を解消すべく、栽培指導に乗り出した稲葉先生。
大根とカブの種を持ってコロンビアに渡りました。
「いい人たちだが仕事が好きじゃない」
「人は2-3日先、国も3-4年先しか見ていない」
「治安維持には金を掛けるが教育にまで回らない」
「離婚率が高く、父親は子育てに参加しない傾向」
「女性の就ける仕事が少なく、成人した子どもたちが養う」
「主力のコーヒーは価格が不安定で離農者も多い」
このような問題もある中、時には危険区域でも指導を決行。
陽気な人柄と多彩な自然に触れてゆきます。
作物を収穫した喜び。そしてそれが売れたときの喜び。
小さな喜びが積み重なって豊かな国になるといいな。
そう願わずにはいられません。
さて、豊かな気持ちになった授業のあとは…