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楽天日本一に寄せて 定期列車

11月3日、プロ野球楽天が球団創設9年目で初の日本一に。


最後の1イニング、胸の奥から熱いものがこみあげました。
阪神ファンなのに…

「モルゲン!!」に西武ファンのスタッフがいて、
時折「パ・リーグ芸人の会」と題する熱いパ論議を交わしています。
そんな彼が数日前に貸してくれた本がこれ。


2004年消滅した近鉄バファローズの歴史本。
「江夏の21球」「10.19」「代打逆転満塁サヨナラ優勝弾」
幾多の名勝負や悲劇や奇跡を演じながら、
日本シリーズを一度も制覇できなかった球団でした。
楽天はこの近鉄と入れ替わるようにプロ野球に参入したのです。

当時のパ・リーグは1990年ごろまでのような不人気ではなかったものの、
選手年俸の高騰に伴い経営がままならぬ球団がいくつかありました。

「新規参入」を謳いながら、実態は近鉄と合併したオリックスから
分配ドラフトと呼ばれる不公平なお裾分けで発足した弱すぎる集団。
初年度は首位から51.5ゲーム離されての最下位でした。

あれから9シーズン。
ドラフト会議でマー君こと田中将大投手を獲得し、
トレードでやってきた元中日の山崎武司選手の
打撃二冠の活躍でAクラス入りを果たしたり。
(「流石の源石」で喝を入れたこともありました)
ナゴヤドームで観た中日との交流戦では、
腕も通らないほどのフェンスの網の隙間から
ファンの握手やサインの求めに応じる選手の姿が。

この球団にはいつか優勝してほしい。
ファンならずともそう思わせる集団でした。
野村克也監督が育て、星野仙一監督が花開かせる。
阪神タイガースを優勝させた物語が楽天にも…
そして10年前の阪神がなしえなかった日本一を達成しました。

勝因の一つは星野監督の「巨人に向かっていく意志」でしょう。
相手もめっぽう強く、それゆえに7戦すべてが好勝負となったのですが、
巨人の強さはセ・リーグの他の5球団が不必要に恐れをなしていたから。
楽天の強いものにこそ逃げずに向かってゆく気概に
胸がすき心躍る思いをしたのはこのためです。

阪神淡路大震災が起きた1995年にはオリックスが優勝、翌年日本一に。
率いたのは近鉄の監督も務めた仰木彬さんでした。
東日本大震災から2年、仙台が本拠で東北を球団名に冠する楽天が日本一。
なんでもかんでも関連づけるのはいかがかと思いますが、
歴史の必然は時として人の営みに力と物語を与える気がしてなりません。

三陸を舞台にしたドラマ「あまちゃん」が社会現象になった2013年。
あまちゃんと楽天は神様から東北への贈りものだったのでしょう。
しかもそれは、日本中が共有できる贈りもの。
おめでとう。
ありがとう。

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